新興感染症対応マニュアル

薬局における具体的な新興感染症対応マニュアル

(1)職員の健康管理・感染防止

① 職員の健康管理

職員に対して、勤務外においても密閉空間・人が密集する場所・密接な場面を避けるよう指導するとともに、勤務前に検温を行うなどの対策を講じる。職員(及び職員の同居者)に発熱(37.5℃以上の場合、または 37.5℃未満で も平熱よりも明らかに高い場合)や感染が疑われる場合、風邪様症状がある場合、新興感染症患者と濃厚接触がある場合などは、薬局の管理者に報告するよう指導し、その職員は出勤を行わない。また、職員の感染が疑われる場合に関しては、速やかに医療機関を受診させる。職員(及び職員の同居者)が新興感染症に罹患したことが判明した場合は、薬局の管理者へ報告させ、出勤を行わないことはもちろん、地域の保健所へ連絡を取り、指示に従う。

② 職員の感染防止対策

職員には業務中はもちろんのこと、日常からの正しいマスクの着用や咳エチケットの徹底を指導し、飛沫感染対策を講じる。また、日常からの手洗いやアルコール消毒など手指衛生の徹底についても指導し、接触感染対策を講じるとともに白衣等のユニフォーム類はこまめに洗濯を行う。業務へ従事にあたっては、新興感染症ワクチン接種を推奨している(ワクチン接種にあたっては個別職員の意思を尊重)。

(2)来局者・取引業者等への対応

① 来局者への対応

来局者には、来局時の手指消毒の徹底を求めるとともに、正しいマスクの着用や咳エチケットの徹底を求め、接触・飛沫感染対策を求めることが必要となる。また、有症状者がいる可能性を考慮し、なるべく、身体的距離(2mを目安に最低1m)を確保する。

② 取引先等への対応

取引先等との対面での面会は極力避けることが必要となる。対面での面会が必要となる場合は、取引先等に正しいマスクの着用、咳エチケット徹底、手指衛生の徹底を求め、来局時には検温するなど、必要最低限の面会に留める。

(3)薬局内での感染対策

① 調剤室、投薬カウンター

調剤室、投薬カウンターなどで職員・患者等の手が触れる部分につき、定期的かつこまめに適切な手法で消毒を行う。また、金銭の授受は可能な限りコイントレーなどを介して直接の接触がないように行う。投薬カウンターには熱源から離す等の防火対策を講じた上でパーテーション・防護シート等を設置し、飛沫感染対策を図るとともに、職員・患者間、患者・ 患者間につき、適切な距離をとり、服薬指導を実施する。

② 患者待合室、OTC 販売スペース等

発熱患者が来局した場合の対応につき、他の患者との接触を避けるために 動線や時間を分けるなどといった対策を予め講じる。患者待合室、OTC 販売スペース等においても職員・患者等の手が触れる部分につき、定期的に適切な手法で消毒を行う。また、金銭の授受は可能な限りコイントレーなどを介して直接の接触がないように行う。 薬局の入り口には、手指消毒用アルコールの設置を図り、来局時の手指消 毒の徹底を来局者に求める。 患者待合室内では、正しいマスクの着用の呼びかけ・掲示を行うとともに、患者同士が密接にならないよう、床面や椅子などに印をつけるなど、患者同士が適切な距離を保てる工夫などを行う。 薬局内の換気については、法令を遵守した機械換気が設備されている場合 は常時活用するととともに、入り口や窓などの開放(1時間に2回以上、1回に 5分間以上)、換気扇の使用などにより、2方向からの換気を講じる。各店舗にて空気清浄機を併用した換気も考慮する。 湿度については一定程度(40%)以上まで加湿することを心掛ける。

③ 職員休憩室などその他の場所

職員休憩室(バックヤード)などにおいても、職員の手が触れる部分につき、 定期的に適切な手法で消毒を行う。また、休憩時間をずらす、休憩室への入室人数を制限する、休憩時においても適切にマスクを着用し間隔(2mを目安に最低1m)を空け、会話は最小限とするなど、休憩や食事等の時に職員が密集しないことはもちろん、対面を回避するよう配慮を行うとともに(必要に応じてパーテーションを設置する)、換気 徹底を講じる。トイレについても、手が触れる部分につき、定期的に適切な手法で消毒を行うとともに、ペーパータオルなどを設置して、共用タオルは使用しない。

(4)その他

① 使用済みマスク等の廃棄

薬局で排出された使用済みのマスクなどは、地方自治体の指導などを参考に、感染対策をとった上で適切に廃棄する。また、鼻水や唾液などが付いたごみについては、ビニール袋に入れて密閉して縛るとともに、作業者はマスクや手袋を着用して作業し、作業後は石鹸等 で手指を洗浄する。

② 最新情報の収集・共有化

国、地方自治体、薬剤師会等からの各種通知など、最新の情報を常に把握するよう努める。また、最新の情報は職員間で共有を図り、薬局内や地域での感染対策に活用する。

③ 電話や情報通信機器を用いた服薬指導等への対応

新型コロナウイルス感染症の拡大防止等のため、「新型コロナウイルス感 染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱について」(令和 2 年 4 月 10 日 厚生労働省医政局医事課/医薬・ 生活衛生局総務課事務連絡)に基づき、時限的・特例的に電話等を用いた服薬指導等が実施されている。 同連絡に基づき、薬局では必要に応じて、電話等を利用した服薬指導の実施など対応を行う。

④ 新型コロナウイルス検査事業への参画

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、宮城県が管轄する「ワクチン・検査パッケージ事業」「無料検査事業」に参画し、地域の公衆衛生に寄与し、感染症予防の啓蒙を行う。